認知症の周辺症状(BPSD)である抑うつや不安感は比較的早期に出やすい症状です。施設では利用者さんから家族の不満を訴えられることが多々あります。そういうときにうまく声かけできないと、信頼関係を失ってしまうことがあります。利用者さんが家族に対して不安を持っているときは、家族に対して、敵愾心を抱いていらっしゃるので、そんな利用者さんの前で家族のことをほめると、敵扱いされてしまいます。あくまでも介護士としては立場としては中立であった方がいいと思います。
「やさしい娘さんたちじゃないですか。」 (NG)
利用者さんから「娘たちは私を見捨てるつもりなんです。」通常の日常会話なら「そんなことありませんよ。やさしい娘さんたちじゃないですか。」と答えることが多いと思います。しかし、介護士として、介護者である家族を評価したり、批判することはできません。「やさしい娘さんたち・・・」と言った時点でアウトです。家族の味方をしたことになります。「どこかやさしい娘なの!やさしい娘が親を見捨てるの!」と、怒りを覚える方もいらっしゃいますし、「この介護士さんだけは私の味方だと思っていたのに、娘たちの味方をするのね!裏切られた!」と寂しい気持ちになられる方もいます。
「どうして見捨てられると思うのですか?」
「娘たちは私を見捨てるつもりなんです。」と仰られたら「どうして見捨てられると思うのですか?」と、そう思った理由を聞いてみましょう。「ここに来たってずぐに帰ってしまうし、電話をしても、すぐ切られてしまうのよ。」と、そう思った理由を教えてくれる場合があります。「直接、ご自分の気持ちを伝える機会がないようでしたら、私から娘さんたちにお話ししてみましょうか?」大切なことは、ご利用者さんがどう思っているかです。まずは、「なぜ、そう思うの?」と利用者さんの話に耳を傾けることです。介護では傾聴は大切な仕事の一つです。どうすれば、利用者さんの気持ちに寄り添えるか、共感することができるかを絶えず考えていなければならない仕事だと思います。

