高齢者の父親から「テレビをつけて」とリモコンを渡されても、「どうして自分でつけないの?」という思いがわいてくると思います。「リモコンぐらい自分でやってよ」と父親の気持ちを逆なでる言い方はよくありません。本人にしてみれば「リモコンをどう使うのかわからない、壊しそうで怖いな」と不安に思っています。「わからないの!」と言わず、一緒に触ってやさしく教えてあげてください。何回聞いてきても、初めて聞かれたように、一緒に操作してあげてください。
認知症高齢者がリモコンが使えない原因
リモコン操作のように、これまで自分で出来ていたことが、突然「これやって」と言われたら、言われる方も戸惑いを覚えるかもしれません。「なんでも人にやらせて、あなたはそんなに偉いのか」と憤慨してしまうかもしれませんね。認知高齢者の場合、「実行機能障害」という中核症状が出てきてしまいます。リモコンのスイッチを押して目的を持った動作が難しく思えてきます。実際にできなくなってしまいます。
「実行機能障害」は、日常生活で私たちが習慣的に行っている、何かを計画しどうしたら実行できるかを考え、その方法を選び実行するという一連の動作をすることができなくなる障害です。とくにリモコンなどのような家電製品を扱うことに不安を持っている方が多く、本人はそのことを言い出せないでいます。また、こんな簡単なこともできないと思われたくないというプライドもあります。
認知症高齢者がリモコンが使えないときの対策と対処法
対策としてはリモコンを必要なボタンだけに色をつけたり、目印のシールを貼ったり、普段使わないボタンは隠すような工夫をするのもいいです。高齢者用の携帯電話として、必要な機能しかついていないものが発売されましたが、高齢者にとってとてもいい製品だと思います。とにかく本人と一緒に、忘れても怒らないで、何度も何度も操作するしかないと思います。テレビのリモコンだけでなく、操作が必要な家電製品の場合、順番をわかりやすく絵にしたものを、目につくところに貼っておく方法もいいでしょう。
リモコンだけでなく、服の着脱に関しても同じことが言えます。施設ではパジャマを着るときも、「ボタンを留めて」とお願いされたら、「いいですよ」と受け止めて、一番上だけ留めてあげて、「二番目は見ているから自分でやってみましょう」と自分でやっていただきます。
残存能力をなるべく残したいというのもあります。自分でできることはご本人にやっていただくというのが介護士側の姿勢です。訪問された家族の方からは介護士は何も働かないと思われがちですが、ご本人自身でやっていただくところを黙って見守るのも介護士の大切な仕事です。だからといって、最初から「ボタンを留めてください」というと、怒って服を脱ぎだす利用者さんもいます。そのさじ加減がものすごく難しいと思っています。

