夕暮れ症候群の症状と原因と理由
夕暮れ症候群とは日中は穏やかに過ごしていた人でも、夕方になると落ち着かなくなったり、少しのことに声を荒げたり、徘徊や独り言が始まり、なかには興奮して叫び声を上げたりして、不穏(穏やかでない状態)になる現象のことです。施設では日常茶飯事のできことです。
家族にはわからなくても、本人はしっかりした目的や理由があって行動している場合があります。たとえば、夕方になると記憶が現役で働いていたころに戻り、外出先から会社に戻るつもりになります。「もう会社に戻らないと・・・」と思って、体が出かけるように動いてしまうのです。こういう時は「こんな夕方にどこへ行くの!」と禁止するような声掛けはNGです。それより話を合わせて「そうなんですか、でも出かける前に一杯お茶でも飲んで行きませんか」と気持ちを落ち着かせましょう。
徘徊も理由や目的がある場合とない場合があるのですが、会社に戻ろうとするのは、会社へ帰るという本人なりの目的があります。会社に戻ろうとするのは「記憶の逆行性喪失」といって、現在から過去に遡って記憶が失われてしまいます。現在の自分の状態と繋がっていないので、家を出たとしても、途中で道が分からなくなり迷子になってしまいます。
夕暮れ症候群の対応
夕暮れ症候群の対応の基本は、まず本人の話に合わせて気持ちを落ち着かせることが大切です。「出かけるな」と禁止するのではなく「まあまあ出かける前に、お茶でも飲んだら」などと声掛けしてみます。とりあえず、家にとどまらせておくこと肝要です。お茶を飲みながらゆっくりと話しをしているうちに、外出しようとしたことも忘れてくれます。それでも「会社に行かないといけない」と言われる人には「電車はストで動きませんよ。明日にすれば」と本人が納得しやすい理由を言ってみましょう。
また別の事例では、息子夫婦と同居をはじめたおばあちゃんが、夕方になると「家に帰るわ」と家を出ていく場合があります。いくら「ここがおかあさんの家になりましたよ」と言っても納得しません。これは、おばあちゃんが新しい家に馴染めなくて不安を感じて「夕暮れ症候群」を引き起こしたものと思われます。こういう場合も「ここがあなたの家なの!」と外出を禁止したり、部屋に閉じ込めてしまうのは逆効果になります。息子夫婦の目を盗んで、勝手に家を出ていく危険性があります。
グループホームでは「今は台風が来ていて、外出できませんよ。明日にしましょう」「外は風が強くて吹き飛ばされてしまいますよ。明日なら大丈夫です」と言って納得していただきます。もちろん、明日になれば、今言ったことも忘れてしまいます。本人が納得していただくことが重要になってきます。
それでも「家に帰る」と言って聞かない場合は、一緒に散歩に出かけます。近くを一周して戻ってくれば、さっき言ったことを忘れて居室に戻ってくれます。家に入る時に「帰ってきたね」とここが自分の戻る家であることを納得してもらうのもいいでしょう。

