認知症高齢者の手づかみで食べる原因と対処法と対策

対応

親が手づかみで食事を食べるのを見て、あなたは驚くかもしれません。両親を尊敬して育った人にしてみれば、親のこんな姿を見たくはなかったと思うかもしれません。しかし、本人からしてみれば、箸が使えないとは思ってもみないので、「箸を使いなさいよ!」「手づかみで不潔ですよ!」「やめてください!」などと強く叱りつけるのはNGです。

手づかみで食べる原因と失行とは

認知症が進行すると、箸を逆さまに持ったり、1本だけで食べようとしたり、箸がうまく使えなくなる場合が出てきます。さらに進行すると、手づかみで食べるようになります。これは手足に障害があるわけではないのに、それまでできていた事ができなくなる「失行」と呼ばれる症状です。箸やスプーンなど、使い慣れた道具の使い方や手順がわからなくなるのは「観念性失行」と呼ばれます。頭頂葉という部位の障害によるものです。

失行とはヒューゴ・リープマンという神経内科医が「運動可能であるにもかかわらず合目的な運動ができない状態」と定義した高次機能障害です。高次脳機能障害とは、脳卒中や交通事故などによる脳の損傷が原因で、脳の機能のうち言語や記憶、注意、情緒といった認知機能に起こる障害のことです。失行の種類としてリープマンが、肢節運動性失行、観念運動性失行、観念性失行と3つに分類したことから始まり、今では、構成失行や着衣失行なども含まれています。

肢節運動失行は指先での細かい作業ができなくなり、観念運動性失行は敬礼などの簡単な動作ができなくなります。観念性失行は物品の名前や用途を説明できるが使用ができなくなります。構成失行はかつては視覚性失行と言われ、客体を用いた描画、平面的図形構成、立方体構成がうまくできなくなります。着衣失行は服の着脱ができなくなります。口腔顔面失行は口笛や舌打ちができなくなります。拮抗性失行は一方の手が他方の手の動きを妨げるように動くことです。脳梁性失行は右手の命令動作はできるが左手の命令動作ができなくなります。

手づかみで食べる対処法と声掛け

本人は「箸が使えないなんて情けない」と口には出せない悩みを抱えています。「仕方ないので手で食べようか」と苦肉の策で手づかみしたら、娘に強く怒られてしまった。気落ちして食事もいっしょにしたくない。そんな気持ちを理解してあげることが大切です。本人のプライドを傷つけないように声掛けには注意が必要です。

娘、息子から一方的に叱られると、親御さんは叱られたことにショックを受け、父親なら、なおさらプライドが傷ついてしまいます。こういう時は「お箸はこうした方が使いやすいですよ」「取りにくいのでしたら、私が取りましょうか」などと手伝ってあげるようにさりげなく声掛けしましょう。

手づかみで食べる対策

箸が使えないのなら、持ちやすいスプーンに換えるのも一つの方法ですが、高齢者は箸の方がうまく使えることの方が多いので、すぐにスプーンに換えるのではなく、箸の持ち方が間違っている場合は「お箸はこうした方が使いやすいですよ」と実際にやって見せながら、やさしく誘導する方がいいでしょう。

また食材を取りやすい大きさに切ったり、ユニバーサルデザインの食器を使うなど、食べやすくするための工夫が必要です。手で食べることのできるおにぎりやサンドイッチ、トーストにするのもいいと思います。ただし、手で食べる場合は、食前の手洗いをして頂いたり、おしぼりを用意することも必要です。

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