せっかくご飯を作ったのに、目の前にある料理を見ているだけで、食べない時があります。時間をかけて、愛情を込めて、一生懸命作った料理に対して、手つかずではやるせない虚しい気持ちになります。「せっかく作ったのに、なぜ食べないの!」「早く食べなさい!」「食べないのなら、片づけてしまいますよ!」「あとでお腹が空いても食べさせないから!」など、つい感情的になってしまいます。それはあなたの気持ちですから、このような声掛けはNGです。強くとがめる言葉は禁句です。
「ご飯を食べない」の原因
出された料理になぜ手をつかないのか。なぜ食べないのか、原因はどこにあるのかをしっかり見極める必要があります。ある利用者様はなんどでも「ご飯はまだ?」と言ってくるぐらい食欲に関しては貪欲な方が多いです。そんななか食事に手をつけない利用者様もいます。
本人が黙っているのは何か理由があるのかもしれません。「どう言ったらよいかわからない」と思っているだけかもしれません。年をとってただ食欲が落ちただけなのか、入歯が合わない、虫歯が痛んでいるのかもしれません。本人が黙っていても、まずこのような可能性を確認しましょう。「どうされましたか?」「どうしたの?」と声掛けしてみましょう。「食欲がなくてね・・・」「歯が痛くて・・・」
それでも理由がわからない場合は、テーブルに用意された料理が「食べ物として認識できない」認知症の中核症状である「記憶障害」の可能性があります。「どうやって食べたらいいのかわからない」のなら、食べるという行為の「実行機能障害」によるものです。
おかずの皿にまったく手をつけない時は、「視野狭窄(きょうさく)」といって、視野が狭くなっている場合があります。お茶碗の片側だけ食べる時もあります。食事が見えているか確かめて、見えている部分が片寄っていれば、お茶碗の持ち方を変えさせたり、見えている範囲におかずを移動させたりします。途中で箸が止まったら「ここにもおかずがありますよ。」とわかりやすく声掛けしましょう。
「ご飯を食べない」ときの対応と対策
本人は目の前の料理を「これは何?見たことない。」と思っています。「なぜ食べないの?」と言われても、「わけのわからないものを食べろというの。どうすればいいの。」と不安がっています。こういう場合は思いやりの心を持って、食べるように誘ってみましょう。「一緒に食べましょうか。」と声掛けします。自分が食べるところを見せて、安心感を与えます。「おいしいですよ。」と言って、食べることを促すのもいいと思います。やさしい、思いやりのある声掛けをしてみてください。
グループホームのなかには、お茶碗のご飯は食べないけれど、おにぎりにすると食べる方もいらっしゃいます。おにぎりの具を工夫すれば栄養不足になることもないです。また、ご飯だけ食べて、おかずを食べない方もいます。そういう方の場合は家族の人と相談して、食器をひとつにして頂いています。同じ食器のうえにご飯とおかずを入れるとおかずも食べてくれることもあります。
また、本人が見ていない隙に、こっそりおかずを入れていくこともします。施設では食事介助といって、食事をサポートすることも仕事のひとつです。また、おかずを料理用ハサミで刻み食にすると食べてくれることもあります。利用者様によって反応がまちまちなので、いろんな方法で食べていただくように心がけています。
また、介助者によって、嫌がる利用者様もいます。あるスタッフなら食べてくれるのに、あるスタッフの食事介助だと食べてくれない場合もあります。とりわけ利用者様は年輩の介助者より若いスタッフの方が好きです。また、若いスタッフを小馬鹿にして食べず、ベテランの介護士の言うことを聞かれる人もいます。また、責任者だと食べてくれる場合もあります。イケメンが好きな利用者様もいます。

