認知症の施設のなかでは、何でも大げさに大騒ぎされる方もいます。その背景には寂しさがあり、心配されたい思いがあります。たとえば、数年前に配偶者を亡くされていたりとか、娘さん息子さんがなかなか来てくれなかったりとか、家族間において孤独な方はたくさんいらっしゃいます。
「大騒ぎするほどのことではない。」(NG)
利用者さんのなかには、蚊に刺されただげで大騒ぎする方がいらっしゃいます。「大騒ぎするほどのことではない。」など言うと、「なんですって!腕が上がらなくなったら、あなたのせいよ!」と怒られてしまいます。
「午前中の診察に間に合わないから、昼ご飯食べてから出かけましょう。」
「変な虫に刺されたんだわ。皮膚病になったらどうしょう。」「それは心配ですね。病院に行って診てもらいましょう。午前中の診察に間に合わないから、昼ご飯食べてから出かけましょう。それまで冷やしておきますね。」でも、たいていの利用者さんは昼ご飯を食べると蚊に刺されたことも忘れてしまいます。
「それは心配ですね。」
家族と疎遠になっている利用者さんにとって、自分の話を聞いてくれるのは、近くにいるスタッフだけになってしまいます。施設の人数が多いと、どうしても一人ひとりと話す時間は取りづらいです。でも、利用者さんの訴えを否定してしまうと、深い心の傷を負ってしまうかもしれません。大騒ぎする方においても、一度はその訴えを聞き入れる姿勢が必要だと思います。「自分の味方がいる。」と思ってくださるだけでも、居心地のいい環境になると思います。

