認知症の方がいらっしゃる家では、コンロの火がつけっ放しになって、鍋の底を焦がしたり、ボヤ寸前までいった経験は一つや二つでないと思います。「危ないところだったでしょう。もう火は使わないで!」「火事になってからでは遅い!もう料理するな!」など強く叱るのはよくありません。認知症の場合、「ついうっかり」の火の不始末の事故とは違います。本人は「私は火をつかったことはない、私のせいにしないで」と思っています。それを強く怒られたり、料理を禁止されてても、生活する意欲がなくなります。気落ちして、認知症がさらに進んでしまいます。
認知症高齢者の火の不始末の原因
料理をしていて、コンロに鍋をかけ、煮立つまでコンロの前を離れると、料理をしていたことも忘れてしまいます。これは「記憶障害」です。そのなかでも、つい数分前のことを忘れるのは「記銘力の低下」です。「記銘力の低下」は火の不始末、アイロンの消し忘れ、風呂の空焚きなど、大火事になる危険性があります。本人にしてみれば、行為そのものを忘れているので、「気をつけて」と言っても、気をつけようがありません。
また、記憶障害だけでなく、「実行機能障害」といって、料理の手順もわからなくなってしまっていることも考えられます。対策としては、必ず家族がいっしょに台所に立って、いっしょに料理をしてあげましょう。「お母さんの得意な料理を教えてください」「料理する時はいっしょにしましょう」とやさしく声掛けしてください。火を使う作業は家族の方が担当して、本人には食材の準備、配膳などをしていただくのもいいと思います。
認知症高齢者の火の不始末の対策
火の不始末に関しては安全対策が一番です。料理やアイロンがけなど、これまで本人がやっていたのに、急に「やるな!」と言っても腑に落ちるものではありません。何も悪い事してないのに、禁止されても腹が立つだけです。もしくは落ち込んでしまうでしょう。また「私なにかやったんじゃないのか」「認知症が進んでいる」などと不安になるだけです。
たとえば、家族が外出して、母親が一人残る場合は、ガスの元栓を閉める、燃えやすいものは置かないなどの安全対策を心がけましょう。ガスコンロを置かないでIHクッキングヒーターに交換する。電子レンジ、電気式のポットやケトルを置く。火災報知器やガス漏れ警報器、お風呂の空焚き防止装置を設置するなど、できることはやっておいた方がいいでしょう。
グループホームでも料理が好きな利用者様がいます。そういう方には職員がいっしょに入って、いっしょに料理をします。もしくは利用者様の見守りをします。グループホームでは、なるべく利用者様だけで生活ができればいいと思っています。介護士はあくまでもサポート役で、利用者様ができるところをしていただいて、できないところをサポートするという姿勢が基本だと私は思っています。

