いろいろなものを拾ってきて溜め込んでしまう収集癖はいつから始まったのでしょうか。役に立たない廃棄物を拾ってくるのはなぜでしょうか。「汚い!」「捨ててあるものを拾ってくるなんて!」「そんなゴミを家の中に持ち込まないで!」などと叫んでしまいたくなります。でも、「汚い」「ゴミ」などの否定する言葉は認知症の人には禁句です。喜んで歓迎することは難しいですが、「こんなもの見つけたのですね」「これ、気に入っているんですね」などと、まずゴミを持ってきた気持ちを否定しないで受け止めてあげてください。
捨てられている不用品を持ち帰り、家の中に溜め込んでしまうような収集癖は、そのうち、ゴミの集積所から粗大ごみを持ってきたり、さらに商店に前に置いてあるものや他人の軒先に置いてあるものまで手を出すようになってきます。
認知症高齢者の収集癖の原因
こういった収集癖は認知症の症状である「判断力の低下」があり、それと本人の「不安」が原因の一つであると考えられています。認知症の「記憶障害」や「見当識障害」によって、これまで自分ひとりでできていたことができなくなって全部できなくなってしまうのではないかという不安、また失敗してしまのではないかという不安、家族に叱られるという不安、元の自分には戻れなくなってしまうという不安などを抱えています。
心の状態が不安なので、心の拠り所を求めて、いろんなものをよそから拾い集めてきて、心を落ち着かせようとされています。また、収集物に自分を投影して「捨てられてはかなわない」と感じでいるのかもしれません。厳しい時代を経験してきた人ほど、物を捨てず大事に使うことを美徳とした「もったいない」精神を強く持っているのかもしれません。
散歩の途中だけでなく、家の中で冷蔵庫や台所の棚から食料品を持ち出し、自分の部屋に集めていることもあります。食料品には賞味期限があるものもありますので、期限切れのものを食べる恐れもあります。また、冷蔵庫から出すと腐りやすいものもありますので、冷蔵庫のものがなくなる場合は、日ごろから注意しておかなければいけません。また、家族が捨てた包装紙やレジ袋なども「もったいない」と拾い集めている場合もあります。
認知症高齢者の収集癖の対応と対策
周囲の人にとってはゴミだと思っていても、本人にとっては宝物のように感じているので、本人の目の前で処分するのはやってはいけません。無理に取り上げたり、目の前で処分すると本人が興奮して攻撃的な行動を取る場合があります。
置き場所がなくなったとか、衛生的によくない場合は、本人の目の届かないところで少しずつ処分していってください。収集物が衛生面や安全面で問題がない場合は少し様子を見てみましょう。周りの人の協力を得ることも大切です。近所の人や商店などに事情を話して収集行為を見かけたら連絡してもらうようにしましょう。
認知症の相談はそれぞれの市役所や町村役場でも相談窓口が開設されています。また、地域包括支援センターという認知症の家族をサポートするところもありますので、自分ひとりで問題を抱え込まないで、周りの方に相談しましょう。

