外出したら迷子になるといって、散歩を禁止するのはよくないです。もちろん、玄関に鍵をかけたり、靴をしまったりするのも感心しません。「出かけないで!」「1人で出てはだめ!」と強い言葉も厳禁です。かえって気落ちさせて閉じ込もり、別の周辺症状(BPSD)を発症する可能性があります。もし、母親が出かけようとしたら、「お散歩ですか、一緒に行ってもいいですか?」とやさしく声かけて、できれば一緒に出かけてください。気持ちを落ち着かせ、さりげなく見守るようにしましょう。
認知症高齢者の迷子になる原因
認知症高齢者が迷子になるのは、見当識(けんとうしき)障害のなかの地誌的(ちしてき)見当識が原因です。周りの建物や風景がわからなくなります。また、建物は認識していても、家との位置関係がわからなくなり、どちらに進んでいけばいいのかわからなくなってしまいます。散歩という目的で外出しても、途中でどちらに進んでいいかわからなくなり迷子になるケースもありますが、散歩に出たという目的を忘れて立ち往生して帰れなくなる場合もあります。また、不安や焦燥が原因になっている場合もあります。
迷子の原因として「見当識障害」もありますし、判断力の低下、認知症ではありませんが、「せん妄」が原因で、突然意識がもうろうとして幻覚や錯覚を起こす場合もあります。
認知症高齢者の迷子になる対策と対処法
迷子になることを防ぐために、本人を家に閉じ込めたり、部屋に鍵をかけてしまうことはよくありません。外に出たい人は活力が余っているので、行動を束縛すると欲求不満になって、逆に認知症の症状が悪化します。
自由に外出させるのではなく、外に出る気配があれば一緒に外出するようにしましょう。目を離した隙に出かける場合もありますので、近所の人たちや交番との連携が効果的です。周りの人たちに事情を話しておき、見かけたら連絡してもらうようにしておきましょう。日ごろから協力をお願いして、事故を未然に防ぐように備えておきましょう。
徘徊・見守りSOSネットワーク
高齢者の徘徊による事故は、徘徊高齢者の捜索願や110番通報は1年間で23,668件、このうち死亡が確認されたのが548件、行方不明者が357件でした。(2005年警察庁の調査)今後は認知症高齢者の増加に伴い、高齢者の徘徊も増加することが予測されます。
そこで、徘徊による事故を未然に防止するために、徘徊高齢者を早期に発見するシステムの構築や地域における見守り支援の強化を行っていくことが急務とされています。このため、警察のみならず、幅広く市民が参加する徘徊高齢者の捜索、発見、通報、保護や見守りに関するネットワークを市町村及び広域的な体制として構築して機能させていくために「徘徊・見守りSOSネットワーク」が立ち上げられました。
徘徊・見守りSOSネットワークは、行方が分からなくなった認知症患者を地域ぐるみで捜索し、早期発見と保護につなげることが目的です。警察や消防などの公的期間や電車、バス、タクシーなどの交通機関、福祉施設、コンビニ、ガソリンスタンドなどの身近な生活に関わる事業従事者、新聞や乳酸飲料などの訪問系事業従事者、住民などが情報を共有して徘徊高齢者を捜します。
実際の捜索では、家族から警察に捜索依頼があると、警察は本人の特徴をFAXやメールで、協力団体に捜索協力を要請します。要請を受けた協力者は、地域の中で仕事や活動をしながらも徘徊高齢者に気にかけたり探したりします。徘徊高齢者を見つけた場合は、協力者はやさしく声をかけて確認して警察に連絡をします。警察は徘徊高齢者を家族のもとに帰します。

