中核症状と周辺症状(BPSD)
認知症として現れるさまざまな症状は2つの症状に大別されます。中核症状と周辺症状と呼ばれるもので、最近は周辺症状のことを、BPSD(Behavioral and PsychologicalSymptoms of Dementia)と呼ばれるようになりました。翻訳すると認知症の行動的および心理的症状です。
中核症状とは脳の神経細胞が障害を受けたことが直接の原因で現れる症状のことです。おもに記憶障害、時間や日にち、場所、人などがわからなくなる見当識障害、ものごとを計画してやり遂げることができなくなる実行機能障害、理解、判断力の障害、失認、失行、失語などがあります。
この中核症状が原因となって引き起こされる二次的な症状が周辺症状もしくはBPSD(認知症の行動的および心理的症状)と呼ばれるものです。BPSDはその名前通り、行動面、心理面の症状があります。BPSDは、本人の性格や人間関係、周囲の環境などが深く関わっているため個人差があります。中核症状は認知症の誰にでも現れる症状ですが、BPSDは人によって現れたり、現れなかったりします。
中核症状の種類
記憶障害
代表的な中核症状として「記憶障害」があります。記憶障害は新しいものごとほど覚えにくくなり、記憶自体が抜け落ちたり、エピソード記憶である経験自体を忘れてしまうことです。物事を覚えることを「記銘(きめい)」覚えている状態を保つことを「保持」、覚えたことを引き出すことを「再生」と言いますが、この3つのいずれかが障害されてしまいます。記憶障害は進行すると知識や言葉自体も忘れてしまいます。何十年にもわたって記憶された遠隔記憶でさえ忘れてしまいます。
見当識障害
時間や場所、人の「見当」がつかない障害を「見当識障害」といいます。最初に時間の見当識が失われます。今が何月か分からなくなるので、季節に合わない服装をしてしまうこともあります。場所の「見当」がつかなくなると、自分がいる場所が分からなくなって迷子になります。道に迷ったり、遠くまで行って戻ってこられなくなります。周囲の人物、状況を正しく認識できないと、周囲の状況に合わない行動をとってしまいます。
実行機能障害
「実行機能障害」になると、ものごとの手順がわからなくなります。それまで問題なくできていた部屋の掃除や近くのスーパーへの買い物、料理などのような日常生活の動作や手順、無意識のうちにしていた段取りが分からなくなります。掃除機や洗濯機などの家電が使えなくなります。ものごとを段取りよく進めることができなくなり、計画的に行うことができなくなります。支払いにお札や硬貨が使えなくなったり、ATMも使えなくなります。今まであたりまえにしていたことができなくなります。
理解、判断力の障害
認知症になると周囲や状況の判断が難しくなってきます。自分の置かれている状況に応じて、適切な行動をとったり、ものごとを筋道を立てて考えたりすることができなくなります。状況の変化に応じた判断ができなくなります。寒いと感じても上からカーディガンを羽織ることができなくなります。病院が休みでも家に帰ることを思いつかないというような場に応じた判断ができなくなります。抽象的なことが理解できず、論理的な思考ができなくなります。
失語、失行、失認
記憶障害のなかに含まれてしまいますが、失語、失行、失認が出てきます。失語には「言葉が出てこない」と「言葉を理解できない」の2種類があります。脳のどこに障害が出るかによって違ってきます。ものの名前がわからない、読み書きができなくなり、相手の話が理解できなくなります。失行は手足は動くのに簡単な日常動作ができなくなります。衣服を着脱ができない、使い慣れた道具の使い方がわからなくなります。失認は、視覚にも聴覚にも問題がないのに、見えている物、聞こえている音が認識できなくなります。

